新陰流兵法の伝承と弘流のために

新陰流正伝上泉会は、流祖・上泉伊勢守信綱が約500年前に創りあげた新陰流兵法の理論と技術を、損なうことなく継承していくことを目的としています。尾張柳生家に伝承された道系を忠実に守り、日々、型稽古を通じた指導を行っております。

本ページでは、当会会長(筆名・中条 槇也)が、長年の修練と史料研究に基づき執筆した著作をご紹介いたします。新陰流剣術、さらには制剛流抜刀術や新陰流仕込杖を含む幅広い兵法の基礎となる「取り上げ使い」から、神髄である「本伝」までを体系化した正統の教範。そして、流祖・信綱公の歩んだ足跡に迫る詳伝小説。

これらは、当会が理想とする「正伝の継承」を具現化したものであり、門下生のみならず、正しき新陰流を志す全ての方にとっての道標となるものです。

詳解 新陰流兵法教範 表紙

詳解 新陰流兵法教範

【理論と技術を損なうことなく学ぶ、正伝の基礎】

尾張柳生家に伝承された新陰流を忠実に継承するための第一歩、それが本書です。教習の入り口となる「取り上げ使い」から、より深い「下から使い」までを、他に例のない精密さで体系化しました。指導者とマンツーマンで行う型稽古の理を、理論面から補完する正統のテキストです。

「はじめに」より抜粋: 正伝されてきた新陰流をなんとしてでも後世に残していくことは流儀にとっての重大事であり、その目的を達するための正しい教習書が不可欠だと考える。

 この度新たに「詳解新陰流兵法教範」を上梓するに当たっては、初・中級者が学習する勢法に上級者入門として重要な奥義之太刀内伝を加え、さらに初・中級者の稽古で最も大切な、打太刀教習の要点解説をも付け加えることで新陰流稽古の教範として完璧を期したつもりである。
… 中略 …
 本書の発刊により、上泉伊勢守信綱が創始した新陰流の本来の使い方である「本伝」を除いた鍛錬型の分野をすべて一冊に網羅した、唯一正統のテキストが誕生したことになる。
… 中略 …
 本書が新陰流という巨大な水路のささやかな澪標(みおつくし)の役割を果たし、新陰流を修行する人たちの稽古にほんの僅かでも役立てて頂ければ望外の喜びである。
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はじめに

序編:新陰流の基礎知識

  • 新陰流小史
  • 伝位・称号と教習内容
  • 礼法
  • 袋竹刀と執刀法

第一編:初級の太刀

第一章:内伝 I(取上げ使い)

  • 三学円之太刀(取上げ使い)
  • 九箇之太刀(取上げ使い)
  • 大転及び小転(大転三勢・小転三勢)

第二章:外伝 試合勢法 I

  • 中興長岡房成と試合勢法
  • 相雷刀八勢
  • 中段十四勢
  • 下段八勢

第二編:中級の太刀

第一章:内伝 II(下から使い)

  • 三学円之太刀(下から使い)
  • 九箇之太刀(下から使い)
  • 燕飛六箇之太刀
  • 天狗抄太刀数構八

第二章:外伝 試合勢法 II

  • 後雷刀(大転変)十三勢
  • 続雷刀十八勢(七勢法・八勢法・三勢法)
  • 小転変(小太刀)十三勢(下段変 七勢・雷刀変 六勢)

第三章:上級への予備勢法

  • 外雷刀三十一勢
  • 奥義之太刀(内伝)

第三編:打太刀の要点

第一章:打太刀の方法

第二章:打太刀の実際

  • 三学円之太刀(取上げ使い)
  • 三学円之太刀(下から使い)
  • 九箇之太刀(取上げ使い)
  • 九箇之太刀(下から使い)
  • 相雷刀八勢
  • 燕飛六箇之太刀
  • 天狗抄太刀数構八

あとがき
新陰流用語さくいん

著者:島 正紀 / 発行:2020年

精解 新陰流兵法本伝教範 表紙

精解 新陰流兵法本伝教範

【道系の神髄「本伝」を紐解く、唯一無二の指南書】

約500年の時を経て伝承されてきた「本伝」の技術体系を、一分の隙もなく明文化した極意の教範です。幅広い兵法を身に着ける上で不可欠な、新陰流の核心部分を詳細に解説。損なうことなく継承されてきた道系の重みを、文字通り体現した「現代の伝書」とも呼べる一冊です。

「はじめに」より抜粋: 新陰流を習得するに当たって、稽古の内容には三種類がある。一つを「取上げ使い」、次を「下から使い」、三つ目を「本伝」という。
 このうち、流祖伊勢守が創流して柳生石舟斎に伝え、柳生石舟済がさらに広めた根本の技法が本伝である。
これは、戦場で甲習を着用して実際の闘争に使える様に流祖が創始、工夫した実戦型の技法である。

 これに対し、元和偃武で甲冑を脱いだ平服にたいての新陰流の技法として本伝を改革したのが「下から使い」であり、新陰流道統三代柳生兵庫助によって工夫された。また、さらに時代が下って剣を実際に使用することが少なくなった時代に、初心者、少年を想定して兵庫助の子柳生連也が構成したのが「取上げ使い」である。従って、技法の成り立ちから言えば、まず本伝があり、つぎに下から使い、取上げ使いの順に成立したわけである。
… 中略 …
 筆者が長年に亘って指導を受け、その要訣を記録しておいた覚書を清書し、長い新陰流の歴史で今まで明らかにされなかった新陰流本伝の手順及び注解を教範として本邦で初めて公開することを決意し、本書を上梓することにした。従って本伝の動作手順、解釈は筆者の聞き及んだ範囲のものであり、もし文中に誤りがあれば、それは筆者の誤記、聞き違えでありその責はすべて筆者にある。
 しかしながら若干の瑕瑾が仮にあったとしても、貴重な無形文化財である新陰流の大略をここに書き残こすことなく、散逸してしまうようなことになれば、剣術というものの性質上二度と復元することは不可能なことは明白である。そこで筆者は非才を願みず、すでに失伝したと思われている七太刀を含む新陰流本伝の概要をここに記述し、注解した。この教範をもって新陰流及び日本剣術の継承のための一助にしたいというのが筆者の本意であり、同時に希望して己まないところである。
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はじめに

第一章:燕飛

  • 燕飛六箇之太刀

第二章:七太刀

  • 七太刀

第三章:参学

  • 三学円之太刀

第四章:九箇

  • 九箇之太刀

第五章:天狗抄

  • 天狗抄太刀数構八

第六章:奥義之太刀

  • 奥義之太刀
  • 別伝奥義之太刀〔使太刀、打太刀交替の型〕

第七章:弐拾七箇条截相

  • 切合二十七箇条

第八章:奪刀法

  • 奪刀法
  • 坐奪刀法

第九章:外勢法拾遺

  • 秘伝三勢法(続雷刀)
  • 両刀
  • 火砲勢

第十章:新陰流に付属する武術

  • 制剛流抜刀術口伝書
  • 制剛流抜刀術
  • 新陰流仕込杖遺様目録口伝書
  • 新陰流仕込杖(十兵衛杖)

参考文献

  • (1) 柳生新左衛門尉宛一国一人印可状
  • (2) 柳生宗厳宛「影目録」抄
  • (3) 新陰流兵法口伝書内伝
  • (4) 新陰流兵法截相口伝書注解
  • (5) 新陰流の源流――七太刀研究

あとがき

著者:島 正紀 / 発行:2024年

小説 活人剣聖上泉信綱 表紙

活人剣聖上泉信綱

【上泉伊勢守信綱の実像に迫る、唯一無二の詳伝小説】

新陰流を創りあげた流祖・信綱公。戦乱の世において、流祖はいかなる道を歩み、この兵法を編み出すに至ったのか。当会会長が「中条 槇也」の筆名で執筆した本書は、徹底した史料研究に基づき、一人の武芸者としての葛藤と深化を描き出した力作です。教範と併せて読むことで、新陰流の背景にある時代精神をより深く知るための一冊となります。

内容紹介(あらすじ):
「剣の修行は亡霊のような人間になる道なのか。人を殺してなんの意味があるのだ」
幽鬼の風体で故郷鹿島にたどりついた剣鬼卜伝。

「相手を傷つけず殺さずに勝ちをとる秘術を拓け」
師の愛洲移香斎からたくされた少年天才剣士信綱。

上州箕輪城主長野業正と共に甲州武田信玄軍との死闘七年のはてにたどりついた志は?
殺人剣から活人剣に……。時代思想の転換をなしとげた革命児の生涯。

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  • 第一章:赤城明神の申し子
  • 第二章:幽鬼
  • 第三章:鎌倉街道
  • 第四章:兵法開眼
  • 第五章:竜虎
  • 第六章:一つ太刀
  • 第七章:地黄八幡
  • 第八章:無血開城
  • 第九章:丸目蔵人佐
  • 第十章:落城
  • 第十一章:信玄の決断
  • 第十二章:妙興寺
  • 第十三章:三度の敗北
  • 第十四章:御前仕合
  • 第十五章:奪刀法
  • 第十六章:神妙劍
  • 本文に登場する新陰流の構え
著者:中条 槇也 / 発行:2013年

注:弘流(ぐりゅう)……流儀を広く普及させること。
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